恒星系間探査

精神』に書いたとおり、開拓者精神は人類の持つ最高の生存能力です。それを失った人類は衰退していくことでしょう。言い換えるならば、繁栄し続ける限り人類は開拓者精神を失うことはありません。人類は、対岸に見える陸地、海の果てにある陸地、空に見える月へと到達してきました。現時点で人類が到達した天体は、地球の衛星である月のみです。人類の繁栄が続くのであれば、その先の新天地への到達を目指すのは必然です。

新天地を求めて

火星

月への到達は、『人類初の別の天体への到達』として歴史に残りました。地球は天体の分類としては惑星です。次は『人類初の別の惑星への到達』となるのが当然であり、合衆国は火星の有人探査を計画しています。

精神』に書いたとおり、人類は理論上可能であるものは実現してきました。火星への人類到達も、十分な予算が確保できるのならば必ず実現することでしょう。

火星へ到達した人類は、太陽系に所属する全ての天体を経済圏に組み込んでいくはずです。そして、人類は太陽系の外に新天地を求めます。

太陽系の外へ

太陽系

太陽系は、太陽という恒星を中心とした恒星系です。星空に輝く星のほぼ全ては恒星であり、太陽系以外にも恒星系が存在します。火星に到達した人類は、次の歴史的偉業を『人類初の別の恒星系への到達』に設定するでしょう。

月や火星という前例どおりであれば、恒星系に対しても探査機による無人探査を何回か実施して、その後に人間が乗った探査船による有人探査を実施することになります。

ただし、前例どおりの手順を阻む大きな障壁があります。太陽系から最も近い恒星系であっても、光の速さで数年かかる距離にあるということです。

現時点での理論では、質量を持つものが光速で移動することはできません。フィクションでおなじみのワープ航法のような空間跳躍も、理論すら存在しないため実現を期待できません。探査の対象となる恒星系に到達するには、光の速さに近い最高速度を出せたとしても10年ほどかかるはずです。道程の前半を加速に費やし、残りの後半を減速に費やす必要があるためです。

また、超光速通信が発明されない限り、一方的な通信でさえ数年かかります。

無人探査

無人探査機

人間が搭乗していない探査機には大きな利点があります。空気・与圧・水・食料・排泄物処理など、人間の生命維持に必要な設備・物資が不要である点です。人体が耐えられない急激な加減速も可能であり、帰還に備えた物資も不要です。

無人探査機の役割としては、有人探査に先駆けた偵察・予行演習などが考えられます。しかし、恒星系間探査では到達まで10年かかる上に、送信した情報が太陽系まで到達するのに数年かかります。

無人探査機の役割としては、有人探査に先駆けた偵察・予行演習などが考えられます。しかし、恒星系間探査では到達まで10年かかる上に、送信した情報が太陽系まで到達するのに数年かかります。

成否が判明するまで十数年かかる無人探査を、前例どおり何回も実施できるかは疑問です。成否を待たず、複数の探査機を同時期に送り出せば、20年以内に確実な成果を得られるはずです。

有人探査

船出

他の恒星系への人類の到達は、開拓者精神が求める理解しやすい形の成果です。知的探究心や学術調査はともかく、これのみは無人探査では達成できません。

有人探査は、無人探査より技術的に困難なものになります。前述したとおり、人間の生命維持に必要な設備・物資を必要とし、帰還を計画した場合は復路に備えた物資も必要です。

対策として、乗員を冷凍睡眠させたり、人間の脳のみを乗せて物資の所要量を減らすなどの案もありますが、技術的に確立されていません。

宇宙空間に浮かぶ都市を利用する都市型宇宙船という案もあります。これは世代宇宙船や世代恒星船とも呼ばれ、種の保存に必要な人数を乗せて世代交代しつつ目的地の恒星系を目指します。

利点として、探査船に搭乗する人間の個体寿命が制約とならないため、必須条件としての航行速度が求められず現在の技術の延長で実現可能になります。ただし、恒星系探査を目的とした場合、搭乗員の子孫が目的どおりに探査活動をするかは保証されません。

都市型宇宙船は、有史以前に島々へ移り住んだ人類のような未知の地への開拓団のために用いられるでしょう。とはいえ、先行した無人探査機から情報を得ることもできますので、有史以前ほどの無謀な冒険ではありません。

第三の方法

無人の旅

恒星系間の開拓団を組まなければならなくなるほど、太陽系は狭くはないように思えます。かといって、人類は太陽系が手狭になるまで開拓者精神を封じることはないと思えます。

所要期間やコスト面から無人探査が優位となりますが、通信の遅延が大きいため恒星系間での遠隔操作は困難です。無人探査機であっても、人類の代行者たる自立した知性が搭載され、人間と同等の自由裁量権が与えられるでしょう。

神化」に書いたとおり、人類が創造する最初の知性はコンピューターを用いたものになるはずです。10年単位や100年単位となる長期の経年劣化に耐えれられる部品の開発が課題ですが、コンピューターは容易に処理能力の低減や活動停止ができるため、目的地に到着するまでの資源消費を最低限に抑えることができます。

人類が、知性を備えたコンピューターを人類の知的な系統に属する存在と認識するようになれば、人類は肉体の制約を遥かに超えた新天地を獲得することになります。

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